2007年2月26日

今年もいよいよ米づくり開始−水口農場見学会

青い那須連山から突風が吹き降ろしてくる一日、栃木県茂木町の新規就農者グループなど13人が、大田原市の水口農場を訪れました。種もみの温湯消毒を見学するためです。

 農場主の水口博さんは、6町歩もの広大な田んぼで、耕やさない、冬も水を張る“冬・水・田んぼ”で、評判のおいしいお米を作っています。

 訪問したメンバーは、いずれも農薬や化学肥料を使わない環境にやさしい農業を志し、日々苦労を重ねている人たち。今回は、農薬を使わないで種もみの病原菌を殺菌する方法を勉強に来ました。世間一般には、「農薬を使っていません」といいながら、実は種もみの消毒に薬をかけているケースが結構あるのです。農薬不使用栽培を徹底するには、水口さんが手がけている「温湯消毒」が有効なのです。

 温湯消毒処理機は、浴槽のようなものでした。乾いた種もみを網袋に入れ、約60度のお湯で10分ほど浸します。均等に温湯が行き渡るように、その間、攪拌し続けます。10分ほどで引き上げ、その後は、10度以下の冷水で約1ヶ月浸します。この浸種を経て、種まき、つまり播種の作業に入るのです。苗づくりの大切な工程です。きちんと準備しないと、後から病気を発生させたり、発芽しない場合も出てくるのです。

 温湯消毒の現場を見学した後、畑に案内されました。寒風と明るい陽射しの中、元気に育ったホウレンソウの茎を畑でそのまま口に含み、「甘ーい、おいしい〜」と感激です。不耕起栽培のための特別な苗の育て方を始め、抗生物質が含まれるおそれのある家畜の糞を絶対に使わない安全な堆肥づくりなど、水口さんのおいしくて安全・安心なお米づくり、野菜づくりの秘密に熱心な質問が集中。水口さんご夫妻のやさしいお人柄ともてなしに、ついつい時間を忘れて過ごしてしまいました。

 最後に水口さんから後輩たちに向けて「いい作物を作れるように、いい仲間作りをして情報交換をし、助け合って頑張ってください」とのエールをいただき、最高のお米を作る方の人物に納得した一日でした。

 いよいよ今年も稲作りが始まる、新しい挑戦が始まる、そんな実感を持って、帰路につきました。(メダカのがっこう もてぎ分校・井村 篤司)

(写真は、浴槽のような温湯消毒処理機)

2007年1月24日

真冬の棚田でカエルのラブコール

昨年2月の初めだったと思う。田んぼの生きもの調査で栃木県もてぎの棚田に、下の方から上がっていった時のことだ。山間に開かれた棚田は、弱い冬の日差しの中、じっと春の訪れを待っているかのようだった。

この棚田は、30年以上放置され、草ぼうぼうだったところを、「復元しませんか、そうしたら都会から大勢の人々を連れてきます」と、メダカのがっこうから地元に要請、復元してもらったのだ。

周りの山の下草を刈り、沢を整備し、田んぼに生えていた樹木や葦などを取り除き、あぜは幅広く、歩けやすいように作り替え、4年ほど前にすばらしい棚田が復元したのだった。

冬の棚田を登っていくと、はるか先方から、キュルキュル、カラカラ、チュルチュルといった交錯した複合音が、開かれた地面いっぱいに響き渡って聞こえてきた。明らかに生きものの声だ。

「こんなとこに、鳥がやってきている。渡り鳥かな。どんな鳥かな、かなりいるんじゃないか」−生きもの調査道具を持ちながら、私たちは鳥たちが飛び立つのを恐れて、足音を立てず、静かにあぜを登って行った。

全長200メートル近い棚田の中腹に来ても、その鳴き声は止まない。相変わらず大合唱は続いているのだ。みんな、おかしい、と思い始めた。こんなに近づいているのに、鳥たちは一羽も飛び立たない!

キュルキュル、カラカラ、、、、声はするけど姿はなし、「あっ、これ、カエルじゃないかな」と誰かが叫んだ。そのとたん、声が止んだ。われわれの姿を見たのか、あたり一面ようやく静けさを取り戻した。

棚田の管理者に電話して聞いてみた。「あ、それはヤマアカガエルですよ。今頃、いちど冬眠から覚めて、土の中から出てきて、交尾するんです。オスがメスを呼ぶカエルのラブコールなんです」

いったん交尾すると、再び土の中に帰り、春の来るのを待つのだという。したがって、このカエルの奇妙なラブコールを聞けるのは、2月初めの4〜5日しかないという。

4月ごろの棚田では、たくさんのカエルの卵塊を見ることができるが、その仕込みが、冬なお寒いこの時期に行われるとは。生きものの世界の神秘に出会った、貴重な体験だった。

2007年1月18日

ベトナムの田園風景

先日の記事にコメントを寄せていただいた、佐藤かほる様から、
ベトナムの田園風景の写真が届きました。

2007年1月12日

郡山で「白鳥の田んぼ」が人気

福島県郡山の仲間で、冬も水を張る「冬・水・田んぼ」を続けているのが、中村和夫さん、増戸義治さんです。農家紹介欄にも書いてありますが、4,5年前から田んぼに水を張ったら、それぞれの田んぼに白鳥が飛来するようになり、今では双方で300羽を超えるようになりました。

白鳥はベジタリアンです。耕さない冬・水・田んぼには、稲株が残っており、稲の根が生きているので、落穂とともに美味しいご馳走なのです。耕すと、そのご馳走が土の中にすき込まれて埋もれてしまうので、耕した田んぼでは食べ物にありつけません。ですから、白鳥にとって耕さない冬・水・田んぼは大好きな食卓でもあるんです。

土・日になると、地元の人たちが子供やお孫さんを連れて、白鳥に会いにやってきます。何もない冬の農村地帯にあって、ちょっとした人気スポットになっています。田んぼは米だけをつくるところではない、ことが実感できます。

3月17日、この白鳥を見送る「また会うべ会」を行います。白鳥が田んぼの上空を旋回して、一路シベリアへ向けて飛び立つ雄姿を見送ろうという企画です。はたしてそう旨くことが運ぶかはやってみなければわかりませんが、ともかく集まろうというわけです。

実は、この企画が持ち上がったのは、この白鳥の田んぼが、例年ものすごい田の草に覆われ、稲が草に負けて、収量が少ないということが続いているからなのです。中村夫妻は「田んぼのお客さんだし、地元の皆さんが喜んでくれているので、いいですよ」と笑って済まそうとしていますが、ちょっと白鳥さんと折り合いをつけたいのです。例年、3月いっぱい滞在するのを、少し旅立ちを速めてもらい、農作業に取り掛かるのを早めたいのです。


というわけで、3月17日、東京駅から貸切りバスが出ます。詳細はまたお知らせしますが、ご関心のある方は、ぜひ一緒に行って、シベリアに旅立つ白鳥を見送りましょう。

2007年1月4日

雪に覆われた田んぼの中・2

もうひとつ、写真をご紹介します。

雪の田んぼで生きもの調査をする
メダカのがっこう生きもの調査隊

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